カテゴリー : 2008年 4月

経過告知01:直接史料の収束と兵員数検証史料の提示について


 いよいよ『桶狭間』を巡る資料の掲載もひと段落といったところである。今川氏関係の史料はほぼ網羅できたことと思う。後北条氏・甲斐武田氏の史料も揃っている。惜しむらくは西側からの史料が薄い点だ。合戦の当事者である織田氏史料が殆ど見つけられなかったことと、周縁国のうち美濃・伊勢の史料がまだ充分に調査できていないことは今後の課題だろう。岩村の遠山氏も謎の存在だし、三木氏が書状で語った「織田氏は今川氏に遺恨を持っているらしい」という文言もまた奇妙である。間接的な謎だが非常に気にかかっているところだ。今川義元を捕殺したのが織田氏ならば、何故彼らは今川氏に遺恨を持っているのか。『桶狭間』で今川方と戦ったのが織田方だったと直接示す史料はまだないだけに、気になるところだ。
 この後は当時の兵員数を傍証する史料を掲載する。これは史料が豊富に残る後北条氏がベースとなる。今川氏が『桶狭間』でどの程度の兵員数を動員したのかを検証することは、最終的な結論に向けての重要な前提だと考えている。
 更にその後、掲載した史料の解釈を再度やり直すこととなる。かなりいい加減な解釈を加えていたため、前半掲載分から見直しが必要になっている。なるべく随時行なうこととするが、全ての史料を精査するのに時間がかかるため、このステップで若干の時間がかかるだろう。
 上記諸課題をクリアして後、改めて具体的な検証作業を開始することとなる。まだまだ結論は見えてこないものの、私なりの『桶狭間』が少し具体的になってきた。解釈修正が完了したら「思いつき」として提示してみたい。

マーティン・チャズルウィット 上巻


 結構苦手な作品だったので、読むのは今回が2度目。ディケンズ前期作品に見られる行き当たりばったりな展開もありつつ、主人公がアメリカに渡るまでの筋運びが異常に長い気がした。ディケンズが作った人物でも出色の俗物ペックスニフが登場するのだが……その他の人物には余りオーラが感じられない。
 独善主義の若マーティンがアメリカで苦労して改心するのだろうけど、アメリカ批判が冗長で観念的過ぎる感じがした。従者マークが『ピクウィック』のサム・ウェラーの出来損ないみたいだし、いまひとつ興が乗らないところ。父親殺しのジョーナス・チャズルウィットは面白い。有名なギャンプ夫人がどれだけ活躍するかにも期待が持てる。
 結局、悪役ぐらいしか精彩がないということか。もしくは本当の意味での悪漢小説なのか。